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岡村研究室

岡村研究室へようこそ。
岡村研究室では、超電導、極低温利用のための応用技術を研究しています。

RESEACH

極低温用超高感度NMRプローブの開発

NMRは電磁波を用いて分子構造を解析する装置で、医療用のMRIと同様な計測原理を使っ ています。NMRは水素原子以外の原子も測定可能ですが、現状では測定感度が十分に高くありません。
測定センサーともいえるNMRプローブは、おもに測定試料に電磁波を送信するコイルと、返ってきた電磁波を受信するコイル (アンテナ)から成ります。NMRの測定感度は、電磁波を送受信するRF: Radio Frequencyコイル(アンテナ)の性能に依存します。RFコイルの電気抵抗が小さいほどロスが少なくなり測定感度が向上します。本研究は、従来の RFコイルに使用されていた銅を、高温超電導体(HTS : High Temperature Superconductor)に変更することによって、超高感度NMRプローブの実現を目指しています。


HTSprobe

 従来のRFコイルは、送信部と受信部が一体化しています。これを全部HTSで作ると、送信時の大電力による熱でHTSが不 安定になる可能性があります。その問題を解決するために送信部と受信部を分離し、送信部は銅にしたまま、受信部だけをHTS にします。
このようなアプローチで、従来のNMRに比べて測定感度が10倍以上向上できると見込まれます。
現状では、例えばタイヤのゴム中の硫黄 (33S) の架橋構造は測定できず、いまだ未解明です。そのため、タイヤの開発では、経験と勘に基づいて試作を行っています。測定感度が向上し、開発したNMRプ ローブが適用可能になれば、従来とは異なる開発手法が可能となり、より燃費のよい高性能なタイヤが効率的に開発できることが 期待できます。